人生報告書

嘘を信じないで、見抜いて

4

帰宅した私は、自室で封筒の中身を確認した。
換気のために開けていた窓から雨風が吹き込み、お気に入りのラグとカーテンを湿らせていた。
母親は疲れたらしく、「今日はもう寝る」と言い残し寝室に篭ってしまった。

書面の内容は衝撃的だった。

海香はもう死んでいる。
そして、癌で亡くなったはずの父は自殺だという事。ショックで記憶を喪失している事。
全身がガタガタと震え、現実を受け入れたく無いと身体が拒絶する。
あの夏休み、私は海香とよく遊ぶようになった。海香は引っ込み思案な私の事を連れ出して、砂浜や林で遊んでいた。毎日同じ景色に飽きてしまった私たちは、度胸試しをすることになった。私は最初反対したが、二人とも負けず嫌いな性格が災いし、絶対行かないよう言われていた岸壁に向かった。ルールは簡単で、岸壁と岸壁の間をジャンプするという遊びだ。シンプルだが、落ちたら波飛沫を立てる海に真っ逆さまである。幸い私は身体能力に恵まれており成功した。でも海香は…。
私は焦って帰宅したところを父に見つかってしまった。警察官の父にはお見通しで、何があったか説明するように言われ泣きながら謝った。岸壁に行ったことは酷く叱られたが、「友達の事は父さんが何とかする」と言い、私を強く抱きしめた。
それから、たまにしか父が家に帰ってこなくなった。
「仕事が忙しいんだ」父と会うたびに少し痩せているような気がした。
あるときから父は家に帰ってこなくなった。
母からは父に癌が見つかり、かなり危ないから入院していると知らされた。亡くなったと知らされたのはそれから数週間後の事だった。
父は癌ではなく、自分が事件を隠蔽した事に耐えきれず自殺したのだと思う。正義感の強い父の事だから、きっと…

全て目を通す頃には、意外にも事実を受け入れつつあった。だが、私は明日からどうすればいいのだろう。母親には何と言葉をかければいい?

ねえ海香、こんな時どうしたらいいの?

開け放たれた窓からは、真っ赤な夕焼けが町中を染め上げている。私は一歩ずつ、その灼けるような光に向かって歩き出した。

3

窓ガラスに当たる雨音を聞きながら考える。
どうして私は今まで気が付かなかったんだろう。
そんなに海香の事を知りたいなら教師に聞けばいいじゃないか。
私は早速、担任に聞きに向かった。
「先生、すみません。お時間よろしいでしょうか」
「どうしました?凛月さん」
「美波海香って生徒の事何か知りませんか?」
先生はしばらく考え込んでいる。
「ごめんなさい、心当たりが無いわ…。もしかしたら保健室の先生なら詳しいかもしれないわよ?」
「わかりました。ありがとうございます」
私は放課後駆け足で保健室へ向かった。ドアをノックする。
返事がない。
「どうかした?」
背後からの声にびくりとする
振り返ると白衣を羽織り髪を結えた女性、保健室の先生が心配そうな顔で立っていた
「あ!あの……先生に聞きたいことがあって」
私は保健室で海香のことについて沢山話した。
先生がうんうんと相槌を打ち聞いてくれたせいで、つい話しすぎてしまった。
「ーーそれで、私、海香を探しているんです。中庭で見かけた時から、ずっと」
先生が優しく微笑む。そして、私を急に抱きしめた。
「…あのね凛月さん、落ち着いて聞いて欲しい事があるの」

そこからはあまりよく覚えていない。
気付いたら母親が隣にいて、白衣を着た医者の前で泣いていた。母親は私に向かって謝り啜り泣いている。
医者に何があったのか聞くと、小さくため息をつき「本当に知りたいか」と聞かれた。不快さを我慢し私が返事をすると、A4サイズの封筒を渡された。母親は疲れた様子で、「今日はもう帰ろう」と私の手を握った。

2

朝刊の入る音で目が覚める。
外はまだ夜の装いで、遠くの山並みをオブラートのような薄明が包んでいる。
私の日課は早朝5キロの軽いランニングから始まる。少ないと感じる人もいるだろうが、バレーの朝練があるので無理は禁物だ。シャワーを浴びて制服に着替える。そして朝食を食べる。それが終わってからようやく学校に行く準備を始めるのだ。
「いってらっしゃい」
玄関で靴を履いている時に後ろから声がかかる。振り返ると母が立っていた。
「うん、いってきます」
挨拶をしてドアを開ける。いつもなら遅刻魔のまなみの家に向かうが、もう不要なことにも寂しさを感じる。そんなことを思いながら一人で登校する。
私は今日から私立明海女子学園の高等部に編入する。この通称アケジョは、幼稚舎から大学まで備わった私立の教育機関。私のように外部から編入するのは珍しく、試験も難関とされている。私がここを選んだ理由は二つある。一つはバレーの強豪校であること。もう一つは海香と同じクラスになれる可能性が高いからだ。
どうやら、同じ中学だった人間は一組に集められているようだが、当然のごとく仲の良い人は誰一人いない。
しかし、今更不安には思わないし、これから作ればいいだけの話である。
そうこうしているうちに教室に着いた。黒板には座席表が貼ってある。自分の席を探すため辺りを見渡す。すると窓際の一番後ろの机の上に印刷のようにきれいな字で書かれたネームプレートを見つけた。
その文字を確認する。どうやらここが私の座席らしい。しかし、彼女――美波海香の姿はどこにも見当たらない。彼女は中等部から内部進学のはずだ。別のクラスなのだろうか……。
それから数分後担任らしき先生が現れ、朝のHRが始まった。
「えー、皆さんごきげんよう。これからよろしくお願いしますね。早速ですが、自己紹介でもしてもらおうかしら?」
生徒達は順番に名前を言っていき、最後に私になった。
「えっと……初めまして。凛月…ひめと言います。趣味はバレーボールです。部活はバレー部に入る予定です。よろしくおねがいします。」私は少し恥ずかしくなって俯いたまま着席した。クラスの人達からの視線を感じる。
「じゃあ次は……」
HRも終わり、ふと窓越しに正門から続く中庭に目をやる。
そこには美しい顔立ちをした少女がいた。海香だ。
3年前からほとんど変わらない容姿の彼女が愛おしい。無意識に涙が溢れそうになるのをぐっと堪え、あることに気づいた。
海香は松葉杖をついていたのだ。

夕映えに溺れる1

その日はまだ蒸し暑さが残る夏休み終盤だった。
現在私は、海沿いの林で迷子になっている。
「まずい、日が暮れてきた」
このあたりは海辺から見える夕陽が神秘的で美しい観光スポットだ。しかし、日が沈みきると途端に闇に包まれる。周囲に住人が少なく、街頭や建物がほとんど無いためだ。
「うぅ……」
私の名前は凛月ひめ。中学1年生である。
今日は家族3人で親戚の家に遊びに来ていた。両親と親戚はバーベキューの買い出しに行っており、私1人留守番していたのだが、特に娯楽も無い家で暇を持て余し散歩でもしようと外に出たのである。
そして今に至るわけだが……。
「ここ、どこだよ……。」
スマホを片手に途方にくれる私。どう考えても現在地から自宅へ帰るルートが分からない。
なんたって地図アプリも圏外なのだ。
どうやらかなり遠くまで来てしまったらしい。
とうとう、頼みの綱のスマホのバッテリーも切れてしまった。
……もうダメかもしれない。そう思った時だ。
「あれ?こんなところで何してるの?」
背後から声をかけられ振り返る。そこには自分と同じくらいな背格好の少女がいた。
「あ……ええと……。道に迷いました」
少女の姿を見るとホッとして涙目になる。
「あれ、泣いてる……?ごめんね!もしかして驚かしちゃった?」
確かに、こんな時間に人がいる事には驚いたが、今はそれどころではない。
早く家に帰らなければ、両親が心配するだろう。
「いえ、大丈夫です。あの、帰りたいんですけど道分かりますか?」
私が尋ねると、少女は少し困った顔をした。
「んーっとねぇ。今はちょっと難しいかなぁ」
「ど、どうしてですか!?︎」
予想外の言葉に思わず詰め寄る。
「……いいもの見せたげる!こっち来て」
「え……どういうこと?」
少女は楽しげに答えると、私の手を引き歩き出した。
「わたし、美波海香、中学1年生。きみ、この辺じゃ見かけないけど、観光で来たの?」
私にとって一大事だというのに、少女はマイペースに問いかける。
「り、りつき……。同じ中学1年生。家族と親戚の家に遊びに来たけど、散歩してたら道に迷って……。」
私がもごもごと答える間も、彼女は歩く速度を緩めずどこかに向かっている。その様子に少し腹が立った。
「あのさ、家に帰りたいんだけど」
「あと少しで着くから平気!」
少女が被せるように言う。足元にサラサラとした砂の感触がある事から、おそらく浜辺に向かっているのだろう。私の親戚の家は正反対の岸壁沿いだというのに。
「ねえやっぱりおかしいよ。どこに連れて行こうとしてるの?」
私はますます混乱してしまう。

その瞬間、目に刺さるほど強烈な朱の色彩が少女を照らした。
肩まである色素の薄いセミロングが風に靡き、金縁の丸眼鏡が鈍く反射する。
まるで、美術の教科書でみた西洋絵画のような光景に、しばらく目が釘付けになった。
「……ありがとう!じゃあ一緒に帰ろう!」
陽はすでに水平線の彼方に沈み、紺碧に染まり始めている。かすかに潮騒が聞こえる夜の海は、吸い込まれそうな不気味さを感じ、私は逃げるように背を向けた。

うつ病になった②

お疲れ様です。

続きというかうつ病になるとどうなるか書いてなかったので書く。
あくまで私の場合だがおおよそ軽度→重度のイメージで。

・趣味から離れる
・ミスが増える
・今までのストレス発散法が効かない
・抜け毛が増える
・生理周期が乱れる
PMSが酷い
・計算、数字、思考が更に苦手になる
・指示が覚えられない
・忘れ物が増える
・謝ることが増える
・パニックになる
・複数の事ができなくなる
・睡眠が浅い
・何もなくても涙が出る
・涙が止まらない
・他人から心配される
・怒りの感情が無くなる
・仕事の場合転職や失業について調べる
・耳鳴り
・吐き気、下痢
・目眩、ふらつき
・動悸
・発汗が異常に増える
・発疹
・疲れやすい
・人と話したくない
・昼休憩を外で取るようになる
・周囲が怖い
・要因を見るだけで気分が沈む
・不眠、過眠
・深夜、早朝に目覚める
・悪い事ばかりをずっと考える
・自己卑下が酷い
・朝起き上がれない
・体が常に重く動けない
・腕を上げるのすら苦痛
・文章が理解できない、読めない
・立つ度立ちくらみ
・呼吸が意識しないとできない
・歩くとすぐ動悸がする
・毎日悪夢を見る
・食欲、性欲が無くなる
・身支度(入浴歯磨き含む)ができない
・インフルエンザからかぜを抜いた感じ
自傷について考える
・道路や線路、河川などを眺める
・死ななきゃと思う

あれ?って思ったら病院に罹っておくのをオススメする。特にメンクリは初診ですぐ診てくれると限らないので。
抗うつ薬は高いうえに副作用がエグかったので、働けてお金貰えるうちに病院に行こうね。

うつ病になった

お疲れ様です。

京都の安井金比羅宮に縁切りに行ったら5キロ程痩せ彼くんと結ばれた代償に健康と職を失った。
気になると思うが詳細を書くと個人情報が危ないと思ったので、個人的にうつ病の要因となった思考や環境についてを書いておく。
詳しく聞きたい人は通話なりで聞いて。

・自己暗示が得意?
…真面目でストイックな傾向がある人に多いと思う。痛いと思わなければ痛くない、みんなこれくらい当たり前だろみたいな…。仕事で自分の限界に挑戦する必要はないし、そのうち体に異常が出てきても無視しがちなので悪化させがち。
・愚痴を言わない、言う環境が無い
…私の場合は社会に出て言わなくなっただが、これは結構大事な気がする。1番いいのは会社の人と会社の愚痴を言う事だが、友人でも構わない。これは自己暗示にも関わりがあって、愚痴を改めて言う→弱さを認めてしまう→自己暗示できないという思考回路に繋がるのが怖い。周りを見るとみんな愚痴を言い合っているのが正しいのかもしれない。
・説明下手
…愚痴を言えないのはこれもあって、自分の気持ちや状況を説明できないからそもそも愚痴が出てこない。これにより仕事や人間関係に支障も出てしまう。ちなみに仲いい人には察しがいい人が多い傾向がある。
・プライドが高い
…無意識。友人らの中では箱入りお嬢様気質でもなぜか嫌われないが、仕事となると失敗を認めず隠そうとしたり相談できず抱え込んだりするのでチームワークができない。愚痴を言わずに常に白鳥でいたいと思っているが実際はそこまでの能力は無い。
・人に頼らない
…下っ端だと爆発して上司に叱られるし上司としても仕事を振れない為仕事では無能。友人や同期への仕事忙しいマウント程度 にしかならない。

結局自分の事しか考えていないという事だが、重なることによって自分の事しか見えなくなっていく。

うつ病の発症は環境によると思っていて、最初の職場でも色々あったが結果仲いい人と話してゆるく働けてたのでよかった。人間関係無理だなと思ったら続けるのしんどいよ。

いつか京都にお礼参り行かないとね

マッチングアプリやった結果

お疲れ様です。

約1ヶ月前唐突に始めたマッチングアプリの記事の続きです。初見の方は良ければ前回記事も見てもらえると嬉しいです。

結論から言うと約1ヶ月で告白されて付き合う事になりました。
例のウイルスで混沌としてる時期に何やってるんだ…と思った方は正常なので安心して下さい。
前回紹介した2つのアプリを並行プレイしていたんですが、まだ緊急事態宣言前だったとはいえ簡単に会おうとも言いにくい状況。
Pe○rsではマッチングする気も起きず気が向いた時眺め、w○thでは数人とチャットして消えていく関係に飽きてきた頃。
基本酔った勢いでいいね返しするのがほとんどですが、Pe○rsで結構前にいいねされた人からチャットが来たので普段通り返してました。写真を見る限りでは友達が多そうだったのでいいね返したんだと思います。同性の友達が極端に少ない、いないは危険なので…。
長文かつ即レスなので珍しいと思いつつやり取りをしていたら、電話したいとの事でLINE交換する事に。
手が早いな…と思いましたが、私はある程度気が狂ってる人が好きなのでOKしました。
(後程聞いたら、断られると思ってたが想像より事が進むのが早くてびっくりしたとの事)
そもそもチャット苦手だし男性はお金かかるんだから早く外部に行った方が良くないですか?

とりあえず電話する事になったんですが、向こうが話すのが好きらしく初回で4時間くらい通話しました。通話自体は過去の男と長時間する事も多かったので慣れてましたが、向こうはそうでもないらしく謝られました。
あまり詳細には書けませんが、終盤幼少期の家庭環境が最悪だった話(父親が新興宗教にハマり浮気して離婚等)を聞かされた瞬間、不謹慎ですが「あっ"当たり"だな」と思ってしまいました。私は過去付き合った男皆幼少期の家庭環境が最悪だった為、一種の性癖になりつつあります。これは持論ですが、首都圏出身で特に高学歴の人間は親もとい本人がヤバい事が多いので参考にして下さい。
彼が今までの人と違ったところは馬鹿なところですね。地頭は良さそうなのでサザエさんのカツオ的な感じです。私は頭がいい人が好きなのでタイプでは無いです。ただ自立してるところがいいと思いました。
社会人一人暮らしで自炊してたりお金の管理が好きだったりする所とか。
過去のヤバい話を沢山聞いた中で、20歳の誕生日に宗教勧誘してきた父親を大宮駅でぶん殴って絶縁した話がめちゃくちゃ良いなと思いました。初回の通話でする内容じゃないだろ…。
まあその後色々話したり、向こうは車持ちなのでたまに夕飯食べて解散とかをしてました。健全ですね。夕飯食べるだけに片道1時間近くかけて迎えに来るのは普通に申し訳無いし気が狂ってると思う。
結局コロナで行く所も無いのでマックの駐車場で告白されました。
面白かったのでOKしました。

マッチングアプリは運です。
ただ効率がいいと思います。恋人が欲しい人同士がやってるのでそこにテディベア現象は起きるべきでは無いからです。SNS恋愛は時に周りの人間関係も失う結果になるので…。
そもそも人と出会う気が無ければ恋愛は無理です。待ってるだけで幸せになれるほどのスペックがない限り。別に出会い系でも、仮に付き合う前に関係を持ってもいいと思います。周りから見て不幸でも自分が幸せなら良いんじゃ無いですか?保証は出来ないけど。

P.S
自粛しろ