人生報告書

嘘を信じないで、見抜いて

3

窓ガラスに当たる雨音を聞きながら考える。
どうして私は今まで気が付かなかったんだろう。
そんなに海香の事を知りたいなら教師に聞けばいいじゃないか。
私は早速、担任に聞きに向かった。
「先生、すみません。お時間よろしいでしょうか」
「どうしました?凛月さん」
「美波海香って生徒の事何か知りませんか?」
先生はしばらく考え込んでいる。
「ごめんなさい、心当たりが無いわ…。もしかしたら保健室の先生なら詳しいかもしれないわよ?」
「わかりました。ありがとうございます」
私は放課後駆け足で保健室へ向かった。ドアをノックする。
返事がない。
「どうかした?」
背後からの声にびくりとする
振り返ると白衣を羽織り髪を結えた女性、保健室の先生が心配そうな顔で立っていた
「あ!あの……先生に聞きたいことがあって」
私は保健室で海香のことについて沢山話した。
先生がうんうんと相槌を打ち聞いてくれたせいで、つい話しすぎてしまった。
「ーーそれで、私、海香を探しているんです。中庭で見かけた時から、ずっと」
先生が優しく微笑む。そして、私を急に抱きしめた。
「…あのね凛月さん、落ち着いて聞いて欲しい事があるの」

そこからはあまりよく覚えていない。
気付いたら母親が隣にいて、白衣を着た医者の前で泣いていた。母親は私に向かって謝り啜り泣いている。
医者に何があったのか聞くと、小さくため息をつき「本当に知りたいか」と聞かれた。不快さを我慢し私が返事をすると、A4サイズの封筒を渡された。母親は疲れた様子で、「今日はもう帰ろう」と私の手を握った。